日本 Linux 協会設立趣意書及び計画書

1998 年 12 月 18 日
日本 Linux 協会設立準備委員会

1991 年に 1 大学生の趣味として作成されたオペレーティングシステム(OS)である Linux は、インターネットの急速な発展に支えられた開発者とユーザとの直接間接の対話という従来にないソフトウェア開発モデルを最大限に利用し、使用者は全世界で推定 800 万人といわれるまでに成長しました。これには個人としての利用だけでなく企業の基幹業務を行なうものも含まれており、「真に Windows に対抗することの出来る唯一の OS」とまで言われています。「日本 Linux ユーザ会」では、この Linux の日本での普及のためにさまざまな支援活動を行なって参りました。その結果、技術情報に関しては日本の中心となり、またそれ以外の情報においての集約機能を果すようになりました。さらに、東京 Linux フェアの 開催や Internet Week ’98への参加を行うまでになり、日本の Linux 界の中心的役割を果して参りました。

この成長著しい Linux に対して、海外では既に商用ソフトウェアが登場し、また多くの企業が既存のアプリケーションの Linux 対応を表明しております。Linux に積極的に対応するハードウェアメーカーも増加しております。しかしながら、特に国内においては Linux の特色である「インターネットを利用した開発者とユーザとの直接対話によるユーザ主導の開発モデル」という点が企業側の戸惑いを招く原因ともなっています。単一企業が独占的に供給する OS と異なり、ユーザ主導であるため、たとえば Linux という名称の商標権すら誰が所有しているのかまた誰が所有すべきなのかは明らかではありませんし、それゆえ企業としては Linux という名称を使うことすらためらわれる事もあり得ます。これは、Linux が従来のフリーソフトウェアの枠組を越えて発展して来たからこそ発生してきた問題であり、誰もが未経験の問題であります。Linux をとりまく世界の急速な展開から考えれば、今後とも同様な未経験の問題に対処する必要があります。

この様な事が妨げとなっているのは、折角完成度の高い安定した OS を手にしていながら商用アプリケーションを利用できないユーザにとっても、またインターネットを積極的に活用したビジネスモデルに基づいた新たなビジネスチャンスをみすみす逃してしまう企業にとっても不幸なことです。「日本 Linux ユーザ会」としてもこの問題に対処すべく検討を重ね、Linux 関係企業を含む関係各方面とも協議してまいりました。

そこで得られた結論は、これはユーザ団体に過ぎない「日本 Linux ユーザ会」単独で対応できる問題ではないが、ユーザ主導で行なわれて来た Linux の開発モデルとその成功を鑑みれば業界団体だけで対応することも将来への問題を残すであろう、ということでした。これは、緊急の課題である Linux の商標登録に端的に現れております。フリーソフトウェアを商標登録する最大の目的は、そのソフトウェア「利用者」の諸権利の保護にあります。この様な目的の商標登録はソフトウェアベンダ固有の権利保護のために行なわれる通常の商標登録とは異なり、個々のソフトウェアベンダにとっては「他社が独占使用することによる不利益を避ける」という消極的な意味を持っています。また、Linux というオペレーティングシステムそのものが純粋な自社製品ではなく、それゆえ自社のものとして商標登録する事に対する強い反発が予想される事から、関係各社およびその団体として商標登録する事積極的にはなりにくい面があります。しかしながら、商標の登録は本来商行為目的で行なわれるものであり、必ずしも利益を追求しないユーザおよびユーザ団体とも相容れないものがあります。

そこで、従来のユーザ団体という枠を超え、ベンダーやメーカも含めて「Linuxを利用するもの」ということで結集し、Linux と Linux界の発展という共通目標に向かって、包括的な活動を行なう団体を設立することが必要であるという結論に達しました。それが今回の趣意書にあります「日本 Linux 協会」です。これは従来の「ユーザ団体」や「業界団体」といったような枠を超えた協会であり、ユーザと業界相互の利益を目指すものです。

国内 Linux ユーザ人口の爆発的増加に伴い、「日本 Linux ユーザ会」が Linux の普及に果して来た役割を従来そのままの形で続ける事も困難になっております。その一方で地域的ユーザ団体が着実な成長を見せており、従来「日本 Linux ユーザ会」が担って来た役割のうち情報集約および調整機能を「日本 Linux 協会」に移行し、ユーザ間の親睦も含めたユーザ団体としての役割を地域的ユーザ団体が担える様にできれば、「日本 Linux 協会」は実現可能と考えます。

ここに「日本 Linux 協会」の設立を提案するとともに、参加と協力を呼びかけるものです。

日本 Linux 協会設立計画概要

対象

 

Linux に関わる全ての活動を行う個人及び団体

想定される具体的な活動

 

 

    • 商標に代表される、共有すべき権利資源等の運用管理、必要があれば申請や入手
    • 開発に必要となるソフトウェア、ハードウェア情報の提供、申請、入手
    • ハードウェアおよびソフトウェア等商用製品の認定活動
    • Linux を使った SI 業者や SE の認定試験等
    • マスコミや新規参入業者の相談受け付け業務
    • 開発プロジェクト、翻訳プロジェクト等の支援
    • ユーザ団体、集会等の支援
    • 機関誌や CD-ROM の発行
    • メイリングリストや WWW を通しての情報交換公開等

日本 Linux ユーザ会との関係

    • 日本 Linux ユーザ会は、発展的に日本 Linux 協会に移行し、 「日本 Linux 協会ユーザ部会」となる。
    • ドメイン名及びその他の資産役務等は日本 Linux 協会に引き継ぐ。
    • 人事については再選任する

会員等

    • 会員については、正会員、準会員、賛助会員、名誉会員を設ける
    • 正会員は積極的に会の運営に参加する個人
    • 準会員は会の提供するサービスを受ける個人及び法人
    • 賛助会員は会の活動に賛同し援助を行う個人及び法人

予定

1998 年 12 月 18 日 設立計画発表
1999 年 04 月 01 日 発足

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