目的
日本におけるLinux商標の現状を調査・把握し、これを参照しやすくするまとめ、特許法律事務所に相談の上、「Linux」を本来のOSに意味で 自由に安心して使用できること。
Linux商標の登録・出願状況
2007年3月23日現在、独立行政法人 工業所有権情報・研修館 特 許電子図書館「初心者向け検索」→「商標を検索する」 で「Linux」(JIS X0208で入れる必要があります)を検索すると、「Linux」単独の文字列での登録・出願は下記の6件です(調査開始時か ら同数のまま)。
商標出願・登録番号
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出願日
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出願人 | 区分 | 指定商品(出願されたものより省略しています) | |
1. |
登録4333699 |
1998.12.10 |
←(株)内田洋行 |
18
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かばん類、袋物 |
2000.1.18 | →登録公報発行日 | ||||
2. |
登録4346339 |
1999.3.12 |
←松本 東喜雄、上原 潤 |
16
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紙類、印刷物、写真、等 |
2000.2.22 | →登録公報発行日 | ||||
2000.6.13 | ←全部無効審判請求(審判番号:2000-35313)、請求人:(株)アス キー | ||||
2000.8.23 | →審決(「特許電子図書館」審決公報DBで「文書番 号」2000-35313で検索) :指定商品中「印刷物」についての登録を無効とする。 | ||||
2001.10.3 | ←出訴平13-435 | ||||
2002.4.30 | →東京高裁 平成13(行ケ)435 判 決:審決を支持して、商標権者の審決取消請求を棄却。 | ||||
3. |
登録4346340 |
1999.3.12 |
←松本 東喜雄、加藤 隆康 |
21
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ガラス基礎製品、なべ類、等 |
2000.2.22 | →登録公報発行日 | ||||
4. |
登録4353352 |
1999.2.26 |
←(有)ビジュ (代表取締役 松本 東喜雄) |
25
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被服、履物 |
2000.3.7 | →登録公報発行日 | ||||
5. |
登録4657506 |
1998.6.4 |
←トルヴァルドズ リヌス |
9
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測定機械器具、電気計算機、等 |
(1998.3.2) | (Linus Torvalds氏、弁理士 神保 欣正氏に商標登録出願の代理人として委任) | ||||
(1998.8.13) | (JLUG 「Linux(TM)に関する公開質問 」発送) | ||||
1999.7.16 | →拒絶理由通知書発送:理由条文コード(84 第4条各号+第8条1項・第4条 1項11号) | ||||
1999.10.19 | ←名称(氏名)変更届(出願人)→PHT社との共同出願から、Linus Torvalds氏単独出願に変更 | ||||
1999.10.19 | ←意見書 差出 (米国で第1916230号でLinus Torvalds氏の登録実績) | ||||
2000.1.26 | ←上申書 差出 (日本リヌックス協会の表明書「需要者、取引者の誤認、混同の防止」) | ||||
2000.9.18 | →拒絶査定 発送日 | ||||
2000.10.16 | ←査定不服審判請求(審判番号:2000-16529) | ||||
2003.1.24 | → 審決(「特許電子図書館」審決公報DBで「文書番 号」2000-16529で検索): 原査定の取り消し、つまり、登録審決 | ||||
2003.3.17 | ← 登録料納付 | ||||
2003.3.28 | → 登録、公告 | ||||
2003.5.28 | 商標法第42条の2により、「登録異議の申し立て」可能期間の終了 | ||||
6. |
登録4576241 |
2001.2.13 |
←松本 東喜雄 |
3
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せっけん類、化粧品、等 |
2002.3.22 | →登録査定 発送日 |
商標権を取るための手続き
商標権を取るための手続きは、 特許庁のWebページ のフローチャートを 参照してください。
また、 「特許庁の紹介」 にある 「特許庁の役割」(「組織図」) を頭に入れておくとわかりやすくなると思います。
つまり、商標出願の登録または拒絶の査定を行う審査部とは別に、 その査定に不服がある場合、地方裁判所に代わって第一審としての機能を 有する審判部の審理が行われるということがポイントです。その審判部の 審決に不服の場合は、さらに、東京高等裁判所へ手続きを進めることが できます。
Linuxの商標表示
※ 注意
以下のよう に案内しておりましたが、2006年、LMI(Linux Mark Institute)が、 無料で(a free (as in beer))サブライセンスを開始しました。
LMIは、The Linux Foundation(旧OSDL)と提携し、Linus Torvalds氏自身も設立者となっている組織です。 今後は、LMIを含むThe Linux Foundation から発信される情報をご参照ください。 →The Linux Foundation Japan「登録商標Linux(R)について」 |
コンピュータOSとしてのLinuxの商標出願は、上記の表の5つ目、登録4657506 として、「トルヴァルドズ リヌス」氏=「Linus Torvalds」氏が出願人として 2003年3月28日に登録されました。
なお、2000年10月16日に査定不服審判請求してから2003年1月24日まで審決が 延び延びとなった理由は、次に述べる登録4346339商標に対する東京高裁での判決 の結果を待っていたためとの情報があります。
では、正式に商品を出荷する場合、どのように商標表示すれば 良いのかは商標権者が指定するのですが、Linus Torvalds氏が特に指定を 表明しない場合、今まで通り、 「日本のLinux情報」の 「免責・著作権について」の ページにあるように、
Linux は、Linus Torvalds の米国およびその他の国における登録商標 または商標です。
などの表記のままで特に変更する必要はないと思います。
直せる機会に、登録商標の表記 | The Linux Foundation での記述に修正できれば良いのではないでしょうか。
Linux商標に関するトラブルへの対処方法
米国での Linus Torvalds氏 によるLinuxという商標の登録が本人の 希望するところではなく、「誤用を避けるため」であったことは、 公開質問で引用されている メールからも 伺えます。
今回、Linus氏によるLinux商標の登録が正式になされましたが、これで、今後の 商標の誤用が減るとは思いますが、全く無くなるわけではありません。 この点に関して、以前、査定不服審判請求中に特許庁商標課に問い合わせたところ、 以下のような回答を2000年12月25日に得ています。
一般的なお話になりますが、出願された案件の登録又は拒絶の判断は、 商標の態様、指定商品(役務)、先願の有無、社会状況の変化等を総合的に 考慮して判断されます。
当然、現時点の判断基準がそのまま、将来にわたって維持される保証は ありません。 (審査の判断(基準)も社会状況等の変化により変遷します)
また、特許庁が拒絶査定したとしても、それを不服として審査の上級審で ある審判、さらには裁判所へ出訴することも考えられますので、 拒 絶査定の処分が将来にわたり支持される保証もありません。
また、 商標法50条に あるように 「商標権者等が、各指定商品について、継続して3年以上 日本国内においてその登録商標を使用していないときは、その使用していない 指定商品についての商標登録を取り消すために請求する」「不使用の取消審判」 というのも可能であり、どちらにしても、永続的な保証が得られるわけでは ありません。
そのため、第三者の不適切な出願の「公開公報」に対しては、各出願の事案に 応じて、以下のいずれかの理由により「情報提供」することで対応するのが ベターと思われます。
- OSの「Linux」の開発者又は推進主体と関係にある者の商品又は役務の ごとく混同のおそれがあり、商標法4条1項15号に該当する。
- 商標「Linux」は、指定商品「第9類 電子応用機械器具及びその部品」に ついて、権利者をトルヴアルドズ リヌスとして登録されている。 したがって、この登録商標及び指定商品と同一又は類似に係る 他人の商標登録出願は商標法4条1項11号に該当する。
関連リンク
特許庁ホームページ →特許電子図書館 トップページ → 経過情報検索→番号照会→ 四法「商標」、番号種別「出願番号/書換登録申請番号」、 照会番号「H10-046481」- 商標法
法庫(houko.com)内の 商標法の Webページ
監修
創英国際特許法律事務所 弁理士 工藤 莞司
活動期間
1999-06-04より
Linux®商標調査へのご連絡はお問い合せフォームよりお願い致します。
メンバーリスト
代表: | 姉崎 章博(NEC) |
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メンバー: | 樋口 貴章(オープンテクノロジーズ) |